2010年05月13日

【ゆうゆうLife】診療報酬 22年度改定 ドキシルが入院で使えない!?(産経新聞)

 ドラッグ・ラグの象徴的な存在で卵巣がん治療薬として昨春、ようやく承認された抗がん剤「ドキシル(ドキソルビシン塩酸塩)」が4月の診療報酬改定後、使いにくくなっている。1回の投与に約39万円かかる高い薬なのに、大学病院などが入院で投与すると3日間で約14万円の診療報酬にしかならず、赤字が生じるためだ。患者会は「18万人分も署名を集め、やっと認可された薬。報酬を見直してほしい」と求めている。(佐藤好美)

 ≪丸いすで抗がん剤≫

 卵巣がん体験者の会「スマイリー」代表の片木美穂さんの元に4月、各地の患者や医師からドキシル投与に関するさまざまな声が届いた。

 関西地方に住む80代の女性患者は3月まで、ドキシルを3日間の入院で投与されていた。しかし、4月に病院に出向いたところ、何の理由説明もなく外来での投与を告げられた。

 あてがわれた部屋は婦人科の処置室。看護師は点滴開始後しばらくしていなくなり、女性患者は1時間半、丸いすに座って点滴を受けたという。

 女性患者の抗がん剤投与が入院から外来に変わったのは、4月に行われた診療報酬改定の影響とみられる。

 ドキシルは4週に1回投与で、薬代は標準的な体形の女性で1回約39万円(10割分)に上る高い薬だ。患者に入院投与する場合、病院は昨年度までこの額を入院費とは別立ての「出来高」で請求できた。しかし、4月の診療報酬改定で、大学病院など包括報酬(DPC)の病院では、入院費にドキシル代が含まれる方式(包括方式)の請求に変わったためだ。

 ≪3日入院で大赤字≫

 新しい薬が出来高から包括方式に変わるのは珍しくないが、問題はその額だ。例えばドキシルを3日間の入院で投与すると、病院が請求できる診療報酬は計14万円足らず。薬代は約39万円だから、病院には約25万円の赤字が生じる。薬代以外の費用も含めれば、病院の赤字幅はさらに膨らむとみられる。

 実際、片木さんが患者に行った調査では、3月までの投与で最も多かった形態が3日間の入院投与だった。

 4月以降も外来なら出来高で請求でき赤字も生じないため、入院から外来投与に変更する病院も出ている。外来に切り替えた中国地方のある病院は「医療費削減のため、化学療法はできる限り外来でしなさいという国の意図を感じた」と漏らす。

 しかし、どの病院でも外来投与ができるとはかぎらない。外来投与は普及してきたが、外来化学療法室を整備し、専門の薬剤師や看護師を配置するのが一般的。関西のある大学病院は「外来化学療法を行うには、そこに人員を配置しなければならない。どこでも環境整備ができて外来に移せるのか疑問」という。

 片木さんも「患者の中には病院までの往復に時間がかかり、『日帰りは困る』という人もいる。外来か入院かの判断を患者の状態でなく、経営で決めるのはおかしい。病院の中には4月以降、1千万円単位の赤字を出した病院もあると聞いている。赤字にならないで使える環境を早く整えてほしい」と訴える。

                   ◇

 ■定額化難しい高額薬剤

 厚生労働省保険局医療課はこの問題について、「出来高からDPCに移す際にはデータに基づいて純粋に財政中立になるように設定しており、入院から外来に抗がん剤投与を誘導するような設定はしていない」とする。そのうえで、「ドキシルについては現在、なぜこういうことが生じたかを精査しており、取り扱いも含めて検討したい」と話す。

 この件で影響が出たのは、ドキシルを入院投与する「DPC対象病院」。DPC対象病院というのは病名や治療法によって分けられた1880のカテゴリーごとに、入院治療費を定額で請求する病院。大学病院など大病院を中心に1600の病院が参加しており、一般病床の半数超がこの対象だ。

 こうした病院に例えば盲腸で入院し手術をした場合、当初3日間の入院費用は手術代を別にして日に約3万5千円(10割負担)の定額。どんなに検査や薬が多くても同じ額で、患者が支払うのはこの1〜3割だ。このため、病院が最も効率的、効果的な治療を行い、無駄な検査や投薬を省くとされる。

 ただ、抗がん剤など特に値段の高い薬が続々と登場しており、それらをどう定額化するかはここ数年、問題となっていた。費用と平均的な入院日数に応じて均(なら)せば、入院日数の短い病院で赤字が生じかねないからだ。このため、(1)薬剤別の新たな分類をつくる(2)出来高で据え置くーなども検討されるが、今回のドキシルはこの振り分けがうまくいかなかったケースだ。

 高額薬剤の扱いをめぐっては、専門家からも「抗がん剤は出来高だからといって、医者が患者に多く投与することはない。包括化(定額化)しても、医療費を削減する効果はないから出来高のままでよいのではないか」(山口俊晴・癌(がん)研有明病院副院長)の声も上がる。

 今年4月の診療報酬改定では高額薬剤としてはドキシルをはじめ23の薬剤が包括化、新規分類、出来高のいずれかに分類されたが、厚労省は23薬剤すべての取り扱いを精査する方針だ。

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2010年04月27日

事業仕分け「落ち着いて臨む」=経産次官(時事通信)

 経済産業省の望月晴文事務次官は21日、高松市内で記者会見し、事業仕分け第2弾に関して「改革すべきは改革するという対応をしておけば、落ち着いた気持ちで臨める」と述べ、自らの改革姿勢に自信をみせた。既に経産省は独自に独立行政法人への「丸投げ」廃止など仕分けを実施している。 

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2010年04月24日

大詰め諫早湾開門、政治的思惑指摘の声も(読売新聞)

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)で、排水門の開門の是非を巡る議論が大詰めを迎えている。

 赤松農相の設置した検討委員会が今月中にも実施か否かの結論を出す方針で、これまでの発言などから「開門の方向に大きくかじは切られた」とみる関係者は多い。「動きだしたら止まらない公共事業の典型」と批判されてきた同事業は、着工から20年を経て見直される可能性が出てきた。

 ◆農業者VS漁業者

 「開門反対」「排水門を開けるな」。15日、長崎県諫早市。赤松農相を乗せたバスが全長7キロの潮受け堤防上に造られた道路を走ると、待ちかまえた約1000人の農業者らがシュプレヒコールを上げた。

 堤防の内側には無数のビニールハウスが並ぶ。東京ディズニーランド13個分、672ヘクタールの広大な干拓地。2008年から入植が始まり、現在、41の個人・農業生産法人がタマネギやジャガイモなどを栽培している。農業者側は、開門すると、農業用水として取水している調整池に海水が混ざり、農作物が作れなくなると主張する。総事業費は2533億円。1農業者あたり約60億円かかった計算になる。

 その前日、佐賀市内で開かれた漁業関係者との意見交換会では、全く反対の訴えが続いた。「堤防が有明海の潮の流れを変えた」「赤潮が深刻。『宝の海』の有明海を再生するには、一刻も早い開門が必要」

 佐賀県によると、堤防閉め切り前は年間2万トン前後だった有明海での漁獲量は、閉め切り後は1万トン前後に半減。とくに、高級貝のタイラギは絶滅寸前という。

 08年には、佐賀地裁が環境への影響を調べるため「5年以上の開門」を命じたが、国は控訴。農林水産省は開門による影響を調べる環境影響評価(環境アセスメント)を始めたが、終了時期は明確に示されていない。

 有明海に面する4県では賛否が交錯している。干拓地を抱える長崎県は「堤防は水害を防ぐ役割もある」と開門に反対するが、佐賀、福岡、熊本の各県は開門を主張する。

 ◆参院選向け?

 「開けるにせよ、開けないにせよ方針を示す」。赤松農相が与党議員をメンバーとする同事業の検討委員会を諮問機関として設置する方針を表明したのは2月23日。環境アセスの結果を待たず、まず開門調査を実施するかどうか決めるという。

 赤松農相は再三、「政権交代で、いままで解決できなかったことを解決する」「有明海の再生にあらゆる努力をしなければ」などと発言しており、「開門するのでは」との見方が関係者の間に広がる。

 憶測を呼んでいるのは、委員会設置の表明が、民主党推薦候補が敗れた長崎県知事選の2日後だったこと。現知事は開門に反対しており、「選挙結果へのあてつけ」「参院選をにらんだ政治パフォーマンス」(同省幹部)と冷ややかな見方も出ている。地元では「先に開門の結果が決まっているなら、何のためのアセスなのか」との批判も強い。

 ◆開門の課題

 二つの排水門を開門するとどんな事態が起きるのか。

 農水省によると、門を全開にすると、満潮時には調整池の水位が今より2メートル超上昇。また、海水が出たり入ったりするので、土砂で海が濁るという。

 長崎県は、土砂が諫早湾に流れ出すことを止めたり、水害を防ぐ護岸工事のために、計681億円の費用がかかると試算。さらに、干拓地内の農地は塩害が避けられないとして、代わりに農業用水を確保する水源のために巨額の費用が必要だとする。(畑武尊)

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