2010年01月07日

平城遷都1300年「奈良時代」から現代日本と世界を考える(産経新聞)

 □ソウル支局長・黒田勝弘

 ■「脅威と好意」の間の知恵

 日本には以前、「釜山赤旗論」という言葉があった。朝鮮戦争(1950〜53年)以降のことだったと思う。日本の安全保障に関連し、韓国南端の釜山に赤旗が立つ−つまり「韓国が共産化されては大変だ」という話だ。

 1945年、日本が敗戦で朝鮮半島から撤収を余儀なくされた後、朝鮮半島の北はソ連の後押しで共産化した。5年後には北朝鮮と中ソが一緒になって南(韓国)を共産化しようと、武力統一戦争を起こした。

 もし韓国が共産化し、釜山に赤旗が立つようだと、中ソを中心とする国際共産主義勢力の次の狙いは日本となる。日本の安全のためには、韓国の共産化を防がなければならない。米ソ対立の冷戦時代、日本が米国とともに「北の脅威」から韓国を守ろうと、韓国を懸命に支援した背景である。

 この現代史を含め、歴史的に日本にとっての「北の脅威」のほとんどは朝鮮半島そのものの脅威ではない。いつもその背後に存在する大陸勢力による、朝鮮半島を味方につけての脅威だった。

 7世紀の「白村江の戦い」後の状況は、日本にとって「北の脅威」論の原点である。そして13世紀、モンゴル(元)が朝鮮半島の高麗を手先に日本に侵攻した元寇は、その手ひどい現実化だった。

 その後、16世紀の秀吉軍による逆流(?)はあったが、幕末から日清・日露戦争、朝鮮統治や満州建国、大東亜戦争、朝鮮戦争など現代まで、「北の脅威」論はいつも日本の国策を左右してきた。

 今また中国の膨張という「北の脅威」が話題になりつつある。もうひとつ、核武装した北朝鮮という史上初めて(?)の朝鮮半島そのものの脅威も登場している。

 しかし島国ということで日本は、歴史的には朝鮮半島や中国など北方勢力とはいつもどこかで一線を画してきた。北方に対しては使節派遣などを通じた先進文化導入という好意もあったが、海を隔てることで日本は外来文化に対する消化力と独自性を育ててきた。

 北方とは「脅威と好意」の間でつかず離れずの知恵が必要である。秀吉や満州国をはじめ、あまりに深入りすると失敗する。日本は奈良時代の後、北方との交流が薄れることで“日本化”が進む。次の平安時代に関心は広がってくる。

                   ◇

 □論説副委員長・高畑昭男

 ■自主独立を守る機略と気概

 平城遷都の35年ほど前、壬申の乱を克服した天武天皇から「国防の基本は何か」と問われた有力貴族の物部(もののべの)麻呂が「国を守る要諦の一つは外交でございましょう」と奏上(そうじょう)するシーンがある(八木荘司著『古代からの伝言 わが国家成る』)。

 瀧浪教授も指摘するように、平城遷都に至る50年は戦争や内乱が多発し、日本の国家存亡をかけた波乱万丈の半世紀だった。核・ミサイルもなく、国連もアメリカもない時代である。それでも歴史書を読み返すと、歴代天皇を含む指導者たちの決断には機略と覇気がみなぎり、スリルとロマンの物語が今も熱く読者の胸を打つ。

 中でも物部麻呂の奏上は、21世紀の視点にも耐える「1300年の真理」というべきだ。現代風に補うならば、国家安全保障の柱は「外交安保政策の一貫性にある」ともいえないだろうか。

 当時の東アジア情勢の中で、日本は生滅を繰り返す朝鮮半島国家と巧みに同盟しつつ、超大国・唐(中国)の脅威に立ち向かった。一方で法治国家と官僚制の整備、貨幣経済の導入、大陸文化の吸収にも力を入れた。そうした知恵と努力が「日本国」たる基盤の完成と平城遷都に実を結んだ。

 もちろん現代の東アジア情勢は米国を筆頭にロシア、インド、豪州など新たなプレーヤーも加わってはるかに複雑化している。当時の国家間関係は地域内に限られていたが、今や日米、日中、朝鮮半島の動きは瞬時に世界へ波及し、逆に世界の変動は東アジアにも及ぶ。当時と今で、世界規模の相互作用が格段に増幅・加速されている点は大きな違いだろう。

 しかし、当時と現代に共通する点も少なくない。当時の日本は朝鮮半島や大陸からの脅威に間断なくさらされ、自主独立を堅持する機略と気概が国家安全保障の重要な柱だった。現代でも、中国の政治経済的台頭、透明性を欠いた軍事力拡大、北の核の脅威にどう向き合うかは最重要課題のひとつだ。

 その場合、どんな国々と組むのが最適な選択なのか。日本は太平洋戦争後、日米同盟を通じて半世紀以上もアジア太平洋の平和、安全、繁栄を守ってきた。地域諸国も頼りにしている。平城京の先人たちの教訓を踏まえれば、この一貫性を見失ってはなるまい。

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posted by ピアノマン at 12:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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